60歳以上が子や孫の生活費を負担…“パラサイト破産”急増中
田口さんは家のローンも完済し、夫婦2人だけであれば十分に生活していける年金を受給していた。だが「今月も赤字で……」と泣きつかれるたびに、長男一家の生活費を全部負担するどころか、運転資金も補填せざるをえなかった。
「とっくに蓄えも尽き、夫の年金だけでは息子たちの生活まで支え切れません。家計が火の車なので、私は工場でのパートを始めました。今後それすらもできなくなったら、どうなるのでしょう……」
田口さんは早朝4時に起き、家族全員の洗濯を済ませた後、朝食を準備し、6時に出勤。そんな生活がすでに7〜8年続いている−−。
実は、体を張って息子や孫の生活を丸抱えしているのは、田口さんだけではない。今年6月に発表された内閣府の調査によれば、60歳を過ぎても18歳以上の子や孫の生活費を一定以上負担している人が2割もいたという。
この結果についてファイナンシャルプランナーで「働けない子どものお金を考える会」代表の畠中雅子さんは、次のように語る。
「子や孫の生活費の不足分を補っている親は、2割どころか、もっと大勢いると思います。