一銭たりとも返してほしいと思わないです。自分が生きている間に残せるものがあればすべて子供のために残したいと思うようになりました。それで少しでも子供の人生が楽になるなら、働き甲斐があるというものです。無償の愛って、あると思いませんか? 少なくとも自分の中にはありますよ。自分の血を引く者たちへ向けられた取引のない愛は本物だと思っています。言葉にするとたいへん陳腐ですけど、そういう愛もあるんです。それが愛の究極の姿じゃないかな。
もし、これから先、血はつながっていないけど、誰かに愛を差し上げたいと思うことがあるならば、一切の取引のない、無償の愛がいいでしょう。
何も求めないし、何も要求しない、存在するだけでいいから、みたいな愛。約束したり、契約するから人間は揉める。「私のことどれだけ愛しているの?」。こういうセリフはすでにアウト!(笑)奥様とご主人の愛は、いちいち愛を確認するようなものじゃないでしょ? セーヌ川の河畔で愛を囁き合っている若者たちを横目に、辻パパはそんな風に思うわけです。まあ、恋は自己愛ですかね。自分に酔ってるだけ……。人を愛そうとしている自分に酔ってるだけの表層的な妄想に過ぎないのかもしれません。