NY市警察で働く日本女性、危険な街で仕事続ける理由
通報で駆けつけたら、12歳の少女が、顔から流した血でパジャマも赤く染めていました。容疑者は母親の彼氏。もちろん、子どもに暴力を振るった男は即、逮捕しましたが、その男より許せなかったのは、母親です。彼女、娘ではなく彼氏をかばうんです。男を逮捕しようとする私たちに食ってかかって。その一部始終を女の子が部屋の隅で震えながらジッと見ているんです。ぬいぐるみを抱きしめて、目に涙をためて」(京美さん)
けんかやDV事件が、スパニッシュ・ハーレムでは後を絶たない。そのたびに京美さんは、被害者の少女や少年に幼いころの自分を重ねる。
「恥ずかしいんですけど、私の実家もけっこうひどい家庭で。でも、誰も私のことを救ってくれなかった。だからいま、そういう家庭の少女たちを見ると、どうしても救いたくなるんです。きっとあのころの私自身を、自分の手で救い出そうとしてるんだと思う」(京美さん)
京美さんの同僚で7年以上もパトロールのパートナーを務めたリオ・ムニョスさん(43)はこう語る。
「この街の住民は、国籍も人種も文化もいろいろ。だからここの警察官は、いろんな価値観の市民に共感できなきゃいけない。