鬼才フィンチャーが描くFBI初のプロファイラー誕生秘話
「どうやって?」と、動機や手口を語らせていくくだりは、思わず前のめりになって聞き入ってしまうほど。
この言葉だけで語られる犯罪者の心理、手口というのが、実に不気味なんですね。なぜかというと、実在の犯罪者たちのたたずまいが、あまりにも自然で、面会シーンの臨場感、現実味が尋常じゃないから。血みどろの犯行を見せられるよりも、ごく普通の、そこら辺にいるようにしか見えない平凡な人々が、淡々と、あるいは嬉々として、まるでそうすることが当然だとでも言わんばかりに持論を展開する姿は、もうヤバいとしか言いようがありません。
「俺は犯罪者の心理を理解できるんだぜ」といった得意気なフォードにもまた、薄ら寒さを感じるのですが、そうした慢心、ある種の幻想は、終盤で木っ端微塵に打ち砕かれます。誰もが思ってもいないような瞬間に、とても静かで、身の毛のよだつような方法で。鬼才フィンチャーが描くプロファイリングのリアルは、これまでとは全く異なるアプローチで、社会や日常に潜む恐怖を伝える怪作です。
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