圧巻の60分長回しの3Dワンシークエンス。中国新世代の異才に訊く
「ずっと休んでいるわけにはいかないですからね(笑)。十分な英気を養ってから、パソコンを開いて、脳裏に浮かんだ映画のタネともいうべきアイデアを半年ぐらいかけて打ち込んでいきました。私の場合、最初になにか思いついたようなおおよそのストーリーがあるわけではありません。『凱里ブルース』のときは“時間”、今回は“夢と記憶”といった核となるテーマがどこからか出てきて、それに心が決まると、まつわるものを統合していって、ひとつのストーリーを作るようなスタイルです。自分の脳裏には、映画になる前のインデックスのようなものがあって、そこに映画のアイデアがストックされている。そこから引っ張りだしてくる感じですかね」
脚本は、撮影に入ってもほぼ変更しないぐらい、ほぼ完璧に仕上げるという。「撮影に入ってから、新しい考えが浮かんで変更することはほぼないですね。変える場合があるとすると、客観的な判断と現実的な問題でどうしても変更せざるを得ないとき、特別によいアイデアがあって、そうしたほうが絶対にいいという核心を得たときはしますけど。
完璧に仕上げてはいますが、足りないと思うこともあります。その場合、付け加えることを恐れることはありません。