くらし情報『十和田市現代美術館で待望の日本初個展が開催中『劉建華(リュウ・ジェンホァ) 中空を注ぐ』』

2023年7月6日 17:00

十和田市現代美術館で待望の日本初個展が開催中『劉建華(リュウ・ジェンホァ) 中空を注ぐ』

あるいは処分しきれない廃棄物を背負った未来だろうか。鑑賞者それぞれの見方に委ねている。

暗闇の空間には、枕の上に骸骨の頭部が置かれた作品《儚い日常》が浮かぶ。向かいの廊下壁面には、急速に発展する上海の街並みを表した《水中倒影》を展示。林立する高層ビルやテレビ塔などがゆらゆらと歪んで水面に映る風景。骸骨の背後からもこの都市の幻影を見てほしい。ふと「メメントモリ(死を想え)」という言葉を思い出す。

十和田市現代美術館で待望の日本初個展が開催中『劉建華(リュウ・ジェンホァ) 中空を注ぐ』

《儚い日常》撮影:小山田邦哉
十和田市現代美術館で待望の日本初個展が開催中『劉建華(リュウ・ジェンホァ) 中空を注ぐ』

《水中倒影》撮影:小山田邦哉
この“旅”の最後には、「書」と「紙」の瞑想的な空間が待ち受ける。角がめくれた紙の形を手びねりで薄く形成した《白紙》。重力で流れ落ちた墨が丸く止まったような《兆候》。唐の時代から続く、雨が壁をつたった痕跡を意味する「屋漏痕(おくろうこん)」という用筆法を参照したという。

十和田市現代美術館で待望の日本初個展が開催中『劉建華(リュウ・ジェンホァ) 中空を注ぐ』

《兆候》、中央は《白紙》撮影:小山田邦哉
《遺棄》と《水中倒影》では、繰り返しの表現も目に留まる。破壊と創造を繰り返す歴史において、繰り返す日常は虚しくも愛おしくもある。展覧会タイトル「中空を注ぐ」は、アート自体は「無意味」であり、「空洞の器」に鑑賞する人々の想像が注がれることを願って付けられたのではないだろうか。

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