2023年4月25日 12:00
【観劇レポート】孤高の死刑執行人を稲垣吾郎が魅力的に演じきる 舞台『サンソン-ルイ16世の首を刎ねた男-』
安達正勝『死刑執行人サンソン』(集英社新書)を原作として、中島かずき(劇団☆新感線)の脚本、白井晃の演出によるダークな歴史劇。
先祖代々パリで死刑執行人を務める一族の当主、シャルル=アンリ・サンソン(稲垣吾郎)。彼は生業故に貴族たちから忌み嫌われる一方、「ムッシュー・ド・パリ」と呼ばれている。
そんな彼が、事故死だったにも関わらず父親殺害の罪に問われたジャン=ルイ・ルシャール(佐藤寛太)の処刑をめぐって、彼の友人であるトビアス・シュミット(崎山つばさ)、ルイ・アントワーヌ・サン=ジュスト(池岡亮介)らと関わりを持つことに。ジャンを救おうとする市民たちのエネルギーは、フランス革命へと繋がる時代のうねりとなっていった。サンソンもまた、その波に巻き込まれていく……。
パリは「花の都」とも呼ばれるけれど、サンソンたちが生きた18世紀のパリにはそのような華やかさは感じられない。観客は民衆のエネルギーが荒れ狂うフランス革命を、共和制の下での粛清の嵐を、つぶさに目撃することとなる。
その際使われたのは、ジョゼフ・ギヨタン(田山涼成)とサンソン、そしてジャンとトビアスが職人として協力し開発した、今では「ギロチン」