2022年8月18日 18:00
国立新美術館で李禹煥の大回顧展が開幕 50年以上にわたる創作の軌跡を展観
5枚の鉄板で構成された《関係項(於いてある場所)Ⅰ 改題 関係項》は、それぞれの置かれた状況により、その形状が異なっている。床にそのまま置かれたもの、立てかけられ、たわみが生じたもの、それぞれの状況から鉄がもつ硬質さ、剛性などを感じ取れる。《現象と知覚B 改題 関係項》は、ひびの入ったガラスの上に岩があることで、それぞれの素材の強さやもろさ、不透明なもの、透明なものなど素材の特性を対比的に提示している。
奥:《関係項(於いてある場所)Ⅰ 改題 関係項》1970/2022年 作家蔵手前:《関係項(於いてある場所II)改題 関係項》(部分) 1970/2022年作家蔵
手前:《現象と知覚B 改題 関係項》1968/2022年作家蔵
年代が進むにつれ、李の作品は、サイトスペシフィック(建物や地理的状況など、作品が置かれる場所の特性や環境を考慮に入れること)的な傾向を強めている。《関係項―棲処(B)》は、2017年にル・コルビュジェの設計したフランスの修道院、ラ・トゥーレット修道院で発表されたもの。《関係項―鏡の道》は、もともとは同じくフランスのアルル、アリスカン墓地で発表された屋外作品だ。