2023年2月16日 18:00
草間彌生、ヴォルフガング・ティルマンスの新収蔵品も初公開 『部屋のみる夢』展、ポーラ美術館で開催中
モデルの衣装や壁に掛けられた絵、調度品などにこだわり、装飾的で色彩豊かな室内空間を数多く描いたマティス。これらの要素を自在に調整し、モデルとなった女性とじっくりと向き合い描いた「部屋」は、マティスにとって自らの表現を存分に探究できる創作の場だった。
ベルト・モリゾ 《テラスにて》 1874年 東京富士美術館
印象派の女性画家ベルト・モリゾ(1841-1895)が好んで描いたのは、ベランダやバルコニーなど、外と内との間に位置する空間だった。当時の女性たちが長い時間を過ごした「室内」と外の世界との境界である場所を女性の視点で繰り返し描いたモリゾの作品は、女性の社会参加が限られていた当時の時代性を反映しているといえる。
エドゥアール・ヴュイヤール 《書斎にて》 1927-1928年 ヤマザキマザック美術館
ナビ派の画家ヴュイヤール(1868-1940)は、象徴主義演劇の舞台美術も手掛けており、その演劇的な表現は絵画作品にも活かされている。明暗の効果を使い、人物だけでなく、その周りのモチーフなどから背景にある物語を想起させるようなドラマチックな室内画だ。
ピエール・ボナール 《浴槽、ブルーのハーモニー》 1917年頃 ポーラ美術館
また、同展で展示作品数が最も多いのが、ヴュイヤールと同じくナビ派の一員として活躍したピエール・ボナール(1867-1947)