くらし情報『新国立劇場『白衛軍』上演に向け、翻訳・小田島創志&演出・上村聡史のメッセージが到着』

新国立劇場『白衛軍』上演に向け、翻訳・小田島創志&演出・上村聡史のメッセージが到着

■演出:上村聡史 メッセージ全文
今から一世紀程前、社会の視座を大きく変えたロシア革命。時代の変化に希望を託した人々と、闘い敗れた人々。ロシア帝国期のウクライナ・キーウ出身のミハイル・ブルガーコフは、自らの体験をもとに、夢破れた反革命側の『白衛軍』を小説として描きました。そして『白衛軍』は戯曲となり、度重なる検閲による改稿、タイトルも『トゥルビン家の日々』として上演され、幾度となくナイフで裂かれた衣服のように、ソ連時代を潜り抜けました。
体制への鋭い批評性が持ち味のブルガーコフですが、本作は文筆活動初期の作品ということもあり、祖国の風景や思考を懸命に守ろうとした軍人たちとその家族の姿が瑞々しく描かれます。そして、“変革”という大義の揺れ動きのなかであっても、見つめ続けた人間賛歌と、それを押しつぶす全体構造への批評眼。
日本での上演歴がない本作を取り上げることは、いま世界で起きている、時計の針を逆戻しするような事態への畏れが大前提にありますが、現代の価値観を見つめるのと同時に、先人たちが日々の生活から培った想像力に、いま一度、敬意を示す必要がある気がします。それは、社会を良くするためというエクスキューズによって生まれた理性の文言ではなく、日々の暮らしや他者との生活で培われた感性から生じた想像力。

関連記事
新着くらしまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
漫画家・脚本家募集LPバナー 上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.