オペラが始まる! 新国立劇場《ウィリアム・テル》稽古初日レポート
その劇的な部分を大事にして取り組みたい。4時間を超える作品を、1時間ぐらいに感じてもらえるように、よく動く作品にしたい。オペラ転換期の重要な作品。この傑作を東京のお客様にお伝えしたい。
登場人物の心情まで──丁寧で根気のいる演技指導
撮影:堀田力丸
休憩ののち、さっそく立ち稽古が始まった。まず序曲から。本来は音楽だけの序曲だが、今回はそこにも動きがつく。興味深かったのは、演技指導の手順。
まず最初に、その登場人物がなぜそこにいるのか、どんな経緯があって、何を考えているのかという人物描写の背景から丁寧に説明していく。それを一人ひとりに行なっていくのだから根気のいる仕事だ。上演時間4時間を超えるオペラに、ひととおり演技をつけ終えるだけでも、いったいどれぐらいの時間がかかるのだろう。5回しか上演しないのが、とてももったいない気がした。
稽古はピアノ伴奏で大野が指揮しながら進む。先述のように、全体の稽古はこの日が初日だが、すでに全員が暗譜で歌える状態なのは当然なのだろう。
1時間ほどで休憩が入ったタイミングで稽古場をあとにした。長大な作品ということもあり、なかなか上演機会のない作品。
1か月後の公演初日が楽しみだ。