2023年3月10日 20:30
激動の時代をジェットコースターのように駆け抜ける、異色のミュージカル『太平洋序曲』開幕
というナンバーとともに「ニッポン」へと誘う。
浦賀奉行所の下級武士だった香山弥左衛門は、外国(とつくに)の上陸を阻止するよう将軍(朝海ひかる)に命じられ、鎖国破りの罪で捕らえられたジョン万次郎とともに、交渉をする。一度は危機を切り抜けるも、将軍のもとに諸外国が列をなして開国を迫る。開国へと否応なく舵を切った日本が見たものはーー。
左から)ジョン万次郎役・立石俊樹、香山弥左衛門役・廣瀬友祐
激動の時代をまるでジェットコースターのように駆け抜ける作品。物語の軸となるのは弥左衛門と万次郎というふたりの男の“友情と決別”だと思うが、弥左衛門の妻・たまての最期、歴史的な瞬間を見たという老人や武士らの「木の上で(Someone in a Tree)」、水兵たちが少女を手籠にしようとする「プリティレディ(Pretty Lady)」など断片的に描かれる人々の姿も印象的。物語に積極的に入ったり、じっと傍観したりする狂言回しは一体何者なのか、なぜ将軍や老中を女性キャストが演じるのか……など、いろいろと考察したくなる。
作詞・作曲はスティーヴン・ソンドハイム。
ソンドハイムの楽曲は難曲と形容されることが多く、初めて聞くと奇妙奇天烈に聞こえることもあるが、「身体に入ったら何とも言えない気持ち良さがある」