2023年2月14日 12:00
すべてのラブストーリーは“サスペンス”である。パク・チャヌク監督が語る新作『別れる決心』
人間を相対的に、そして総合的に見るためには、“距離をもって”見ることが重要になります。ある程度、客観的に見ることが必要だと思うのです。
そこで人間を少し距離をとって見ると、そこにはユーモアが生まれます。特に恋をしている人、誰かを愛している人、恋愛に陥っている人は他人から見ると、少し笑える存在だと思うのです。ですから、ロマンスやラブストーリーというのは、ユーモアが生まれる可能性のあるジャンルだと思います。そのためには、私は映画は映画館で観ることが重要だと考えています。そこで私がイメージするのは、映画館に集まった人たちが一緒に笑っている光景です。同じ映画を観て一緒に笑うこと。
これこそが幸せな体験だと思うのです。
日本の観客の方たちは、映画を観ている時にリアクションが大きくないと聞きました。“笑い”というものは周囲に伝わるものですし、大きな声で笑っている人がいると、自分も思い切り笑うことができます。ですから、日本のみなさんにも映画館で一緒に笑っていただけるとうれしいです」
監督が語る通り、『別れる決心』は思わず笑ってしまう場面がたくさん登場する。しかし、そのシーンでさえも多面的で、そこにはシリアスな状況や矛盾、愛のドラマが潜んでいるのだ。