大竹しのぶ「必死になって困って、道を見つけていきたい」 ひとり芝居『ヴィクトリア』インタビュー
今ごろ蜷川さんも喜んでいると思いますよ。藤田さんのこと、すごく可愛がっていましたから。
――これまでの演出作品をご覧になられて、藤田さん作品ならではの面白さをどんなところに感じられましたか?
えー、どこだろう(笑)。でも本当に彼は真面目に、いつも作品に取り組んでいるなと思います。お稽古はこれからですが、今のところ困った顔しか浮かんでこなくて(笑)。すごく難しい戯曲ですからね。俊太郎とふたりで、必死になって困って、なんとか道を見つけていけたらと思います。
――同じひとり芝居でも、『売り言葉』とはまったく違ったものになりそうですね。
あれは野田さんの作演出だったので、野田さんの言葉の世界で遊ぶ作品でしたから。でも今回は、例えば「コーヒーを飲む」というシーンがあった時に、コーヒーカップをどこに置くかとか、どこに戸棚があって、どっちにバスルームがあるのか。そういう細かいことをしっかり決めておかないと、絶対にその場に生きている人にはなれないなと思っています。あとポーン、ポーンとシーンが変わっていくので、それをどう表すのか……藤田俊太郎にかかっていると思います(笑)。
――稽古場で一番頼りになるのは、お互いの存在になるわけですよね。