2022年6月15日 12:05
『ゲルハルト・リヒター展』展示の模様をレポート!「見る」とは何かを問う多様な絵画表現に迫る
現代美術でもっとも重要な芸術家のひとり、ゲルハルト・リヒター。今年で90歳を迎えた彼の日本では16年振り、東京の美術館では初となる大規模個展が6月7日(火)に東京国立近代美術館にて開幕。10月2日(日)まで開催されている。
ゲルハルト・リヒターは1932年、ドイツ東部のドレスデン生まれ。第二次世界大戦後、社会主義体制が敷かれた東ドイツで壁画家としてのキャリアを積んでいたリヒターは、ベルリンの壁が作られる直前の1961年に西ドイツへ移住。デュッセルドルフ芸術アカデミーで学び、当初は資本主義リアリズムを掲げて大学の仲間たちとパフォーマンスなども含めた活動を繰り広げていたが、徐々に独自の画風を確立。1970年代からはドイツをはじめ各国で個展が開催されるようになり、次第に世界の現代美術を代表する存在としてみなされるようになっていく。
同展は60年にわたるリヒターの活動を、ゲルハルト・リヒター財団の収蔵品を中心に122点で振り返る展覧会。
展示作品のうち85点以上が日本初公開となる。
6月6日に行われた記者発表会の様子
開幕に先立ち行われた記者発表会にて、同展を担当した東京国立近代美術館の桝田倫広主任研究員は、「リヒターの作品はひと言でいうとどう凄いのか、という質問をよくされるのですが、むしろひと言では言い表せない多様な問題系を含んでいることこそが彼の作品の特徴。