『もうひとりのル・コルビュジエ』大倉集古館で 20世紀を代表する建築家の美術作家としての側面にフォーカス
20世紀を代表する建築家であるル・コルビュジエは、建築のみならず、絵画や彫刻など美術作品も数多く制作したことで知られる。そのル・コルビュジエの美術作品の世界有数のコレクションである「大成建設コレクション」を紹介する特別展が、東京・港区の大倉集古館で、6月25日(火)から8月12日(月・祝)まで開催される。
1887年にスイスで生まれたル・コルビュジエが、画家としての活動を展開したのは、1917年にパリに定住してからのこと。画家アメデ・オザンファンとともに、20世紀初頭にピカソらが始めたキュビスムを批判的に継承する美術運動「ピュリスム(純粋主義)」を提唱した彼は、身の周りの品々を幾何学的な形態にまで単純化し、黄金比や正方形を基準にした厳格な構図のなかで描く作品を発表する。その後、1925 年にオザンファンと別れてからは、詩的な感情を喚起する静物として骨や石などもモチーフとし、シュルレアリスム的な作品も展開。1920年代末以後は女性を主なテーマとし、その姿態の形を描くことに注力するなかで、次第に形のデフォルメを進めていった。
ル・コルビュジエ《女のいるコンポジション》(パピエ・コレ、1952)