2023年1月27日 18:10
近松門左衛門、円熟期の傑作3作品を上演 国立劇場2月文楽公演『近松名作集』開催
2月に国立劇場にて、近松門左衛門の円熟期に書かれた傑作3作品を披露する公演『近松名作集』が上演される。
近松門左衛門(1653年~1725年)は、浄瑠璃作者であると同時に日本の近世文学を代表する巨人。国立劇場では、2月の文楽公演において、たびたび『近松名作集』と銘打ち、近松の傑作の数々を上演してきた。本公演は、初代国立劇場さよなら公演の一つとなっており、現在の国立劇場小劇場公演としては最後の『近松名作集』となる。
『心中天網島』天満紙屋内の段
『心中天網島』は享保5年(1720年)12月に竹本座で初演された。執筆時近松は67歳で、前年に『平家女護島』、翌年には『女殺油地獄』を発表するなど円熟味を増して浄瑠璃作者として最も充実していたころの作品。近松の心中物の多くが、実際に起きた事件を脚色して書かれており、本作も同年10月に大坂・網島の大長寺(大阪市都島区中野町)で起きた心中事件を元に書かれた。
近松の心中物の代表作である『曽根崎心中』や『冥途の飛脚』は、若い恋人同士が切羽詰まった状況に追い込まれ心中に邁進していく物語だが、本作で描かれるのは「避けようとしても避けられなかった悲劇」。