井上芳雄×小池栄子インタビュー こまつ座『日本人のへそ』上演にむけて
と。その後に台本を読んで、「なんじゃあこりゃあ」と思いました。(一同笑)こんなすごい作品なのに、よく私、軽々しく「やります!」って言ったなあ、と。こまつ座さんの舞台は『それからのブンとフン』(13年)以来、今回が2回目なんですけど、前の時に「もっとああすればよかった」といった悔いが残っていたんですよね。だから今回はリベンジの気持ちもあって、あれから数年経っているから、今の自分に何が出来るのか……を考えての「やります!」だったんです。
――井上戯曲の持ち味である豊かな言葉や音楽に加えて、巧みに仕掛けられた推理、どんでん返しの数々など、本当に想像の枠を超えた物語が展開します。ストリッパー“ヘレン天津”の一代記として、小池さんがヘレンを演じますが、井上さんは“会社員”役のほか、劇中さまざまな役柄に挑みますね。井上そうなんですよね。
それも役柄の振り幅が広くて……、もう振り切っちゃってる役が多いんです。出来るか出来ないかは置いておいて(笑)、やってみたいと思えたことが大事かなと。僕が演じる役柄を前回では石丸幹二さんがやっていらして、ヘレンのお父さん役で出てくるシーンがすごいショッキングだったんですよ。