2021年1月14日 16:18
2021年のVOCA賞は秋田県在住の尾花賢一! 3月12日より上野の森美術館にて『VOCA展2021』開催
今年の受賞作品は、そのいずれもが、実際に作品の前にたち、細部にわたってじっくりと読み解く楽しさを再認させてくれるものであった。
<荒木夏実(東京藝術大学准教授)>
絵画で、あるいはより広く、アートで何を表すことができるのか。今回受賞した人たちに共通するのは、表現せずにはいられない、その人が描く必然性ではないだろうか。アーティストがいま、世界のどこを見て、何を考え、伝えようとしているのか。そのヴィジョンを私は見たい。粗さや未熟さがあったとしても、アーティストの思いと問題意識が伝わる作品が見る人の共感を呼ぶのだと思う。今回の受賞をステップに、さらなる飛躍を期待している。
<前山裕司(新潟市美術館館長)>
新型コロナウイルスのパンデミックによって、未来が見えず、現在を模索するような状況が続いている。
大勢の人がいる映像を見ると、これは過去の映像だといつのまにか判断する自分に嫌気がさす。コロナウイルスは「現在」をことさら意識させているように感じてきた。VOCA賞の尾花賢一や佳作賞の弓指寛治など、歴史や過去を扱った作品がとくに印象に残ったのは、そんなことが影響しているのかどうか。選考会の後ずっと気になっている。