2021年10月1日 12:00
新納慎也「劇場で一番泣いているのは僕かもしれません」 演出家デビュー作『HOPE』開幕直前インタビュー
――稽古場での指摘やダメ出しなど、厳しいほうですか?
いや、厳しくはないと思います。僕としては厳しい演出家も好きで、それはそれでいいのではと思っていますけど。怒鳴りつけるのは簡単だけど、それで役者が萎縮してしまっては残念ですよね。できるだけ自由に、解放された芝居をして欲しい。怒るのではなくて、リクエストですね。「その状態では、プロの俳優としてのレベルにつけません」というようなことはきっちり言いますね。
――稽古場で日々、演出家が泣いているという噂も(笑)。
毎日泣いています。
何なんだ演出家という仕事は!?って感じですね。単純に作品に感動しているのもあるんですが、3割くらいは役者に対する親心で。ああ〜こんなに出来るようになった! とか、お前、そんなに繊細な心を持っていたのか!とか(笑)。そういうのも含めて毎日楽しいです。
『HOPE』ビジュアル(高橋惠子×小林亮太バージョン)
自分の手中にあった作品が巣立っていった感覚
――新納さんは出身の大阪芸術大学で演出も学んでいて、その志はずっと持っていらしたんですね。
そうですね、別に俳優を辞めて演出家になりたいなんて思っていませんけど、こうして長年演劇に関わっていると、どうしても「自分だったらこうしたいな」