TRICERATOPS、活動休止前最後のライブツアー開幕「デビューして27年、今でもこうした景色が見られてとても幸せ」
ともに歌える曲が数多くある。ステージ上と客席との境目がなくなり、全員がひとつになっていく光景は感動的だ。バンドの観客への思いと、観客のバンドへの思いが溶け合い、スリーピースではなくて、何百ものピースがひとつになって、大きなうねりを生み出していた。
林幸治(b)
“踊れるロック”を軸としながらも、じっくり聴かせるナンバーも散りばめてある。アコースティック編成での演奏も聴きどころのひとつ。ボーカルとコーラス、そしてそれぞれの楽器の奏でる音色のニュアンスの豊かさを堪能できるからだ。憂いを帯びた歌声と繊細なアコースティックギター、深みと味わいを備えたアコースティックベース、軽やかさとふくよかさを備えたカホーンとシェイカー。アコースティック編成によって、3人の“歌心”が際立っていく。
スリーピースでここまで奥行きと深みのある歌と演奏を展開できるところが素晴らしい。アコースティック編成での演奏が“うっとり”をもたらしてくれるものだとすると、近年の彼らのステージの恒例となっている林と吉田のセッションは“高ぶり”や“荒ぶり”をもたらしてくるものとなった。ふたりの生み出す骨太なグルーヴは、まるで恐竜の咆哮のように迫力に満ちていて、エネルギッシュでダイナミックだ。