カトリーヌ・ドヌーヴ主演『ベルナデット 最強のファーストレディ』──フランス国民のハートを鷲づかみにした大統領夫人の戦略【おとなの映画ガイド】
と謳われるようになるまでの大逆転劇だ。
冒頭で「この作品は事実を自由に脚色した物語」だとしつこいくらいに語ってくるのが、かえって可笑しさを誘う。なにしろ、出てくる人名はほとんどが実名、史実もそのまま描かれているのだから。
大統領府エリゼ宮の暮らしぶりや、夫のとんでもない姿がベルナデットの目線で映し出される。本音でしゃべる彼女にかかれば、サルコジ(シラクの後継者)なんて、調子のいい裏切り者よばわりだし、シラクの女性スキャンダルも結構あけすけに描かれる。
しかもベルナデットを演じるのが、フランスを代表するカトリーヌ・ドヌーヴとくれば、向かうところ敵なしのキャスティング。
ドヌーヴは明日(10月22日)が誕生日で、ことし81歳になる。まちがいなく超がつく“美魔女”だ。『シェルブールの雨傘』の清純な役でスターダムを駆け上がり、その後は、妖艶ともいえる美しさと演技で、数々の名作に出演し観客を魅了してきた。まさにフランス映画の顔、という存在。プライベートでは、ファッショナブルなタトゥーをしていたり、マルチェロ・マストロヤンニをはじめ、さまざまな相手とのラブ・アフェアでも知られている。