カトリーヌ・ドヌーヴ主演『ベルナデット 最強のファーストレディ』──フランス国民のハートを鷲づかみにした大統領夫人の戦略【おとなの映画ガイド】
つまり「なめんなよ!」と爆発したのだ。そこからは、最強のファーストレディになるべく、出世できないおひとよしの参謀“ミッケー”ことベルナール・ニケ(ドゥニ・ポダリデス)を味方につけ、着々と手を打ち始める。
王道のリベンジ物語だが、冴えないおばさんが、マスコミを手玉にとりながら、みるみるカッコいい人気者になっていく痛快さは、やはりワクワクものだ。
華麗な変身を遂げるのに、欠かせないのは見た目の変化。ダサイとなじられているベルナデットの服が自分の過去にデザインしたものだと知ったモード界の帝王カール・ラガーフェルドが、最新の作品を携えてエリゼ宮に乗り込んでくるシーンがある。正直、ドヌーヴなので、野暮ったい服を着ている時もオーラを隠せていない感じはあるが、新デザインの服に着替えてカーテンを開けた時の姿はやはり、さすが!
堂々たる貫禄。毒舌で多少愛嬌もあるこの役をドヌーヴ自身が楽しんで演じている。そんな雰囲気が、心地良いテンポやしゃれた会話とともに伝わってきて、上映時間は1時間30分ほど。
コメディはこのくらいの長さが最高です。
文=坂口英明(ぴあ編集部)
【ぴあ水先案内から】
植草信和さん(フリー編集者・元キネマ旬報編集長)