2023年11月6日 12:00
【おとなの映画ガイド】私はアブノーマル? 多様性の意味を問う──『正欲』。稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗出演
実は、ふたりには忘れられない鮮烈な過去の出来事があったのだ……。
そして、横浜の大学に通う学生・神戸八重子(東野絢香)。性的トラウマを抱え、男性に嫌悪感を抱いているが、大学で行われるフェスで、ダンスサークルに所属する諸橋大也(佐藤寛太)と出会い、無機質な彼の魅力に惹きつけられていく……。
観ているうちに引き寄せられ、目が離せなくなるのが、夏月と佳道。ふたりは再会して、実は性的指向が共通であり、お互いにとって初めての理解者だとわかるのだ。その後、彼らが選んだ生き方、ライフスタイルには、率直に言って驚かされてしまう。
岸監督はあるインタビューで、「今の“多様性”ですくい取れないマイノリティーで、社会から疎外され、なじめない生き方をしてきたふたりがどう結ばれるか、大きなテーマだった」と語っている。
原作のなかに、「社会からほっとかれるためには社会の一員になることが最も手っ取り早い」という一節がある。
夏月と佳道は、ノーマルな市民生活に溶け込んでいたのだが……。
思いもかけない展開。ラストは、希望が見えた、とはいわないが、ほんの小さな灯りがともる。
ところで、『正欲』には『(ab)