2021年11月11日 12:00
【ライブレポート】さとうもか アルバム『WOOLY』をライブで完結 オーディエンスと分かち合えたツアーファイナル渋谷クラブクアトロ
中盤で披露した「いとこだったら feat.Mom」。残念ながらこの日来られなかったフィーチャリングしたシンガー・ソングライターMomの代わりに4人のゲストが来てくれました!──と、バンドメンバーがさとう自作のMomのお面をかぶってプレイ。いまは、さとうもかサウンドを具現化するだけでなく、楽しい遊びにもノッてくれる仲間がいる。
そして中盤から後半はアルバム『WOOLLY』の背景や、制作への思いを語りながらよりエモーショナルに、1曲、1曲を届けていく。今年、岡山から東京へと出てきたこと、様々な悩みをうまく解消できぬまま上京し、そのモヤモヤとした思いやビターな心情を自身の音楽に溶かしていった。多彩な音楽やカルチャーのエッセンスが混じり合ったファンタジックなサウンドやファニーで愛らしい音をまとっているが、聴くほどにじわっと毒のような苦味が広がるのはそれゆえだろう。このビター&スウィートが、リスナーの心の凸凹にも共鳴する。
彼女自身、アルバムのなかでも好きな曲だという「いちごちゃん」や、フロアがオレンジ色のサイリウムで美しく輝くなかで歌われた「ながれぼし」の切ない痛みは、ライブでより叙情的で柔らかなファルセットになり、そしてそれぞれの心にある風景を引っ張り出すように響きわたる。