命はどこにいくのかという深いテーマの作品ですし、調を下げて、より深みのあるバスの音色で歌います」
《4つの厳粛な歌》には、共演する小百合夫人との思い出も詰まっている。ウィーン国立音大で教え、アン・デア・ウィーン劇場などでコレペティトアを務めるピアニスト。
「15年間を振り返った時、彼女は絶対的に大事な存在です。留学してすぐ、ウィーン国立歌劇場の立ち見席で知り合いました。この歌曲集は彼女のリート伴奏科の卒業試験の演目で、自分がそれを歌ったんですね。それもあり、私たちの結婚式では、4曲めの歌詞に使われているコリント人への手紙の箇所を聖書朗読してもらいました。出会った頃には、自分たちが音楽の都の第一線で仕事を得るようになるとは、お互い想像もしていなかったはずです。それが二人で切磋琢磨して、今こうして共演できる。
素晴らしいことだなと思っています」
今年初めには1stアルバム《冬の旅》もリリースしたところ。期待のバス・バリトンが、日本でもいよいよ本格的に動き出した。
平野和&平野小百合 (c)武藤章
平野和 バス・バリトン・リサイタル
8月3日(木) 19時開演
渋谷区文化総合センター大和田さくらホール
ベートーヴェン:「6つの歌」