2023年5月24日 17:00
『コード・ブルー』を作った男が福島第一原発事故の物語『THE DAYS』に挑んだ理由。「これはまだ“続いている”話なんです」
この状況を正しく伝えることができれば、検証番組や検証本に書かれているようなことが、かなり現実と乖離していると視聴者の方たちに感じていただけるのではないかと。検証番組で語られたことは、安全な明るい場所で集められるだけの資料を集め、それらをゆっくり読んで考えたこと。でも、実際の彼らは暗闇の中で、圧倒的にストレスフルな状況の中で判断しなければなりませんでした。このことを伝えるためには、“箸休め”はない方がいい、観ている方が張り詰めた緊張で疲れを感じるような展開にすべきだと思いました。
これだけ重い題材を、これだけの密度で描くと、観ている人が離脱してしまうのではないか?という恐れはもちろんありました。でも、手頃な重さ、観やすさでこの物語をくくってしまうと、伝えるべきことが伝えられなくなってしまう。観続けるのにエネルギーがいる、あの場にいなくてよかったと思わせるぐらいの表現でないと、この物語は伝えられないと思ったんです」
すべての登場人物の“外での顔”は
作品の中では見せない
増本が語るとおり、本作の観客は劇中の登場人物たちと同じように混乱の中に放り込まれる。自分がどのような状況にいるのかも正確に把握できず、危機や新たな問題が容赦なく舞い込み、決死の覚悟で行動するも、各所の思惑は時にすれ違い、ストレスは増していく。