2023年3月6日 11:40
父・松本白鸚も演じた『花の御所始末』に幸四郎が挑む 『三月大歌舞伎』初日レポート
歌舞伎座新開場十周年『三月大歌舞伎』が3月3日より開幕し、坂東玉三郎をはじめとする多彩な顔ぶれが趣の異なる演目を上演。その初日レポートが到着した。
第一部は、宇野信夫作『花の御所始末(はなのごしょしまつ)』。“昭和の黙阿弥”と称される劇作家の宇野信夫がシェイクスピアの『リチャード三世』から着想を得て、松本白鸚に向けて書き下ろされた本作は、昭和49年(1974) に帝国劇場で初演され、かつて二度演じられたのみの伝説の舞台。40年ぶりに上演される今回の公演では、父・白鸚が勤めた足利義教に松本幸四郎が初役で挑む。
舞台は、庭いっぱいに花木が植えられ人々から「花の御所」と呼ばれる足利幕府の室町御所。中央には美しく枝垂れる柳の大木が印象的に佇む。そこへ憤慨しながらやってきたのは太政大臣・足利義満の次男・足利義教(松本幸四郎)。
美しく逞しいその姿に人々の視線が惹きつけられる。義教は自身が落馬したのは臣下の安積行秀(片岡愛之助)の責任だと叱責。その様子を見た畠山左馬之助(市川染五郎)は行秀を庇い、自らの命を差し出そうとするも、義教の怒りは収まらない。やがて管領・畠山満家(中村芝翫)と二人きりとなると、義教はある計画を打ち明ける。