きらきらと輝く螺鈿(らでん)細工の魅力を紹介 『きらきらでん』根津美術館にて開催中
貝の青い部分と赤い部分を選別して使用しているため、《樹下人物螺鈿硯屏》のように、輝き方がさらに複雑になっていく。
《樹下人物螺鈿硯屏》中国・元〜明時代14〜15世紀根津美術館蔵
この薄貝技法の影響は少なかったが、近世に李朝時代の朝鮮から伝わった螺鈿器は日本に大きな影響を与え、独自の様式が形成されていく。そして江戸時代に入ると、琳派や南蛮様式をはじめ、螺鈿はさらにバラエティ豊かになっていく。
《紫陽花蒔絵螺鈿文箱》日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
《裂地螺鈿小箪笥》日本・江戸時代 18 ~19世紀 根津美術館蔵 福島静子氏寄贈
蒔絵で表現されたあじさいの花だけに螺鈿をあしらった《紫陽花蒔絵螺鈿文箱》や、細かく切り出した貝や金の薄板を並べて文様を表す「杣田細工」と呼ばれる技法を使った《裂地螺鈿小箪笥》など、貝の輝きを効果的に使用した作品は、その輝きに息を呑むほどだ。このほか、中国から技法を学んだ琉球王国でも、赤い漆地に螺鈿を用いたり、金や銀などの箔を施す箔絵と呼ばれる技法と併用した螺鈿が生まれ、日本や大陸とも異なる独自の螺鈿文化を構築してきている。
本展では、これらの螺鈿を一堂に展示し、きらびやかな螺鈿の世界を堪能できる展覧会。