2021年8月3日 20:50
HYDEが神聖な境内でオーケストラを従え熱唱、初の平安神宮公演2日目レポート
だ。雅楽隊が奏でる重厚な音色が鳴り渡り、まっすぐに宙を見つめ両手を大きく広げたHYDEの中心部へと集まってくる光の粒子が投影される。まるでさまよえる魂が浄化を求めて吸い寄せられるかのように。
そうして極限までHYDEの内部に凝縮された光は次の瞬間、ビッグバンを起こし、ついには大極殿に宇宙が映し出された。太陽系から銀河系、さらに果てしなく広がりゆく宇宙。それはHYDEという人の内面に広がる宇宙そのものでもあるのではなかったか。雅楽とオーケストラ、すなわち日本古来の伝統音楽と西洋音楽の融合、セットリストに並んだ楽曲から浮かび上がってくるのは生と死を真摯に見つめるHYDEの透明な眼差しだ。『ROENTGEN』を静とするなら、本来的な彼のスタンダードスタイルは動であり、それら両極をどちらに偏ることなく、必然のバランスで成立させているHYDEの宇宙。
コロナ禍にあえぐ今の世界は歪に傾いている。コロナ禍だけではない、頻発する自然災害や事故、犯罪など世の中のあちこちで悲しみが渦巻いている。そのすべてを正すことは難しいかもしれない。それでも、せめて音楽の鳴っている場所には穏やかな安らぎが満ちていてほしい。