稲垣吾郎インタビュー「40代はどう生きていくのかを考える重要な時期」 『No.9 ―不滅の旋律ー』再々演にむけて
とこれまたユニークな言葉で評する。
芸術家としてのある種の“狂気”とひとりの人間としての“チャーミング”な部分。この両極こそが本作におけるベートーヴェンの魅力であり、この役を稲垣の俳優キャリアにおける随一のハマり役とさせた要素でもある。
「稲垣吾郎のいろんな要素が詰まった役だなと思いますね。二十歳の頃につかこうへいさんの原作の芝居(『広島に原爆を落とす日』)をやらせてもらって、一方でラッパ屋の鈴木聡さんの作品ではコメディ色の強い役もやってきました。30歳くらいからは“狂気”の部分――激昂したり、エキセントリックで得体のしれないところのある役をやるようにもなって、三池(崇史)監督の『十三人の刺客』だったり、ヒールやクセの多い役も増えてきました。アイドルグループにいる自分が王道のヒーローじゃなく、そういう役をやるってすごく面白い挑戦でしたけど、40歳を過ぎて自分がやってきたことの集大成、ひとつのまとめとなったのがこのベートーヴェンだと思います」。
『No.9~』は、みんなでベートーヴェンという船を漕いでいるような作品
2015年の初演、2018年の再演に続く再々演となるが「表現することは同じ」