“登山界の生ける伝説”山野井泰史が唯一無二の存在である理由。その30年を追い続けた監督に聞く。
山野井さんに最初に話をもっていったら、(マカルー西壁のことは)“思い出すだけで気持ち悪くなる”と言ってましたけどね(苦笑)。
ということで、実は僕の中で、今回の作品のひとつの大きな目標は、山野井泰史というクライマーを再定義することでした。実際に再定義できたのではないかと思っています。
本人に聞いていませんが、あらためて向き合うことで山野井さん自身も自分の人生で“マカルー西壁”がどういう位置づけだったのか、あの失敗はどういうものだったのかが整理できた気がしています。僕自身もあのときのことをどこか心の中で整理できたところがある。
そういう意味で、自分の目標を達成できたと思っていて、みなさんにも山野井泰史というクライマーの人間性や生き方を感じてもらえると思っています」
『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版』
山野井のようなクライマーは
もう現れないかもしれない
『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版』
山野井泰史というクライマーにあらためて、どんなことを感じただろうか?
「彼のようなクライマーはもう現れないかもしれない。これは映画を観てもらえれば分かるように、山野井さんはお金や名声のためにこのようなチャレンジをし続けているわけではない。