2022年6月15日 12:00
屋良朝幸「新しいエンタテインメントが生まれる」音楽劇『スラムドッグ$ミリオネア』
だから自分で腑に落ちてないし、どういう意味でこの台詞を言っているのかわからないまま、ある意味、対応能力でやってきました。でもそれが弱みにもなっていて。そう思ったのは『SONG WRITERS ソング・ライターズ』(’13年)のときだと思います。
演出の岸谷五朗さんに「“とりあえずやれちゃう”っていうのはやめない?」って指摘されて。まだ外部のミュージカルに出させていただくようになって間もないときで、たしかに自分の中では腑に落ちてないんだけど、「やらなきゃ」とやっていた。だから岸谷さんに、「わからなかったら芝居が止まっちゃってもいいから、一回ディスカッションしない?」と初めて言われたときに、「うわ、そうだよな」と思って。そこで、なんにでも対応できちゃう強さの半面、浅いところで演じてしまう弱点に気付けました。あれはすごくいいきっかけをいただいたと思っています。
そこから「もっと深く考えなきゃ」と思うようになって、芝居への取り組み方も変わりました。本当にわからないことはちゃんと話し合う。いまだにわからないことはいっぱいありますが、そういうことは聞いたり、ディスカッションしたり、いろいろ実験するようになりましたね。