2023年12月27日 12:00
福士誠治×麻実れい 大作『インヘリタンス―継承―』に挑む!「人生の6時間半をください」
切なくもあるけど、真理でもあるなと。
麻実私は結構、台本の文字に対して神経質なところがあるんですね。例えば句読点だけでも、なぜここで入れるんだろう、続けてしまったほうがいいのでは?と思ったり。また言葉の選び方も、田舎出の人物ならもっと荒い言葉にしてもいいんじゃないか、とか。まずその整理をしてから次に進むので、まだしっかりとは読み込んでいないんです。ただ、ゲイのコミュニティについて描かれている作品だけれど、性自認や性的指向などに関わりなく、あらゆる人に観に来ていただきたいんですね。そうすればきっと尊厳という言葉の意味、福士さんがおっしゃった優しさを感じていただけると思います。忘れかけていた一番大事なものに気づかせてくれる非常に人間的な舞台、そんな気がとてもしていますね。
――エイズを扱った作品ではトニー・クシュナー作『エンジェルス・イン・アメリカ』などを思い出しますが、麻実さんはその日本初演(1994年)に天使の役で出演されましたね。作品を比較して感じることなどはありますか?
麻実『エンジェルス〜』の背景は80年代、90年代で、エイズ問題を取り上げた初期の作品ですよね。だから観客にとっても難しかったのではないかなと思います。