「TOHOシネマズ ピックアップ・シネマ」第5弾は、罪と罰を問う問題作『赦し』を上映
という深遠なテーマに真っ向から挑んだ問題作『赦し』。
本作のメガホンを執ったアンシュル・チョウハンは、インド出身で日本在住の気鋭監督。寓話的なファンタジーだった前作『コントラ』の作風を一変させ、重厚でリアリスティックな語り口を披露した本作は、本格的な裁判劇でもある。法廷における裁判官、弁護士、検察官、証人のやりとりを臨場感たっぷりに描出し、スリリングな展開と、登場人物たちが抱く不安、迷い、痛みを見事に表現している。
また、出演者たちの迫真の演技にも注目だ。娘をクラスメイトに殺害され、怒りと憎悪の呪縛に囚われた主人公、樋口克を演じるのは、フィリピンの巨匠ブリランテ・メンドーサ監督と組んだ主演作『義足のボクサー GENSAN PUNCH』が記憶に新しい尚玄。元妻の澄子に扮するのは、第62回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞した『台風家族』『ひとよ』などで多彩なキャラクターを演じてきたMEGUMI。深い喪失感を共有する者同士でありながら、対照的なベクトルで裁判の成り行きを見つめる元夫婦の複雑な思いを表現した。
そして、本作で特に注目を集めているのが、加害者側である福田夏奈役に抜擢された松浦りょうだ。