松田正隆が19年ぶりに青年座に書いた『東京ストーリー』が開幕
撮影:坂本正郁
矢代静一や水上勉、そして近年ではマキノノゾミや永井愛らなど、1954年の結成以降、その時代を代表する劇作家たちと共に数々の舞台を創り上げてきた劇団青年座。創立65周年を迎えた今年は、ピュリツァー賞を受賞したリン・ノッテージの戯曲や、サラリーマンの肩書も持つ中村ノブアキの新作などを上演してきたが、10月23日(水)に東京・駅前劇場で幕を開けるのは、青年座では19年ぶりとなる松田正隆の書き下ろし『東京ストーリー』だ。
物語に登場するのは、都内のとあるマンションに住む女性3人。大学で哲学を教える杉村佐知子。佐知子の姪で、バイトをしながらコントグループに所属する杉村彩芽。不動産屋に勤め、空き家を案内する梅崎奈々。そんな東京に生きる彼女たちの、どこか不安定で満たされない日常が、空き家を通して少しずつ変化していく様が描かれる。
京都から東京に移住して7年という松田は「私の家からは練馬の風景が見えます。
ここに住んでいる人たちとその周りの空間についての戯曲を書きたいと思いました。物語の“内容”というよりも、それを語る“場”のほうに興味がある」と明かす。さらに「たくさん人々が集う東京という都市には、無数の“おはなし”も集積している。