キーワードは“信頼”。ディズニー最新作『ラーヤと龍の王国』監督・脚本家が語る
誰かひとりが人々に脅威や苦痛を与える設定はつくらないようにしようと。それぞれのキャラクターが自分たちの家族や国を守ろうとするだけで、そこには悪意はないんです。そのことは私たちにとって非常に重要なことでした」(エストラーダ監督)
そこで彼らは、かつて“聖なる龍”に守られていたが、邪悪な魔物ドルーンの出現によって龍が犠牲になり、人々が分断されてしまった王国を物語の舞台に据えた。主人公ラーヤは龍の石を守る一族の娘として生まれ、分裂した人々が共生することを願う父の下で育ったが、ある事件によって父が石化してしまい、彼女は人を信じることができなくなってしまう。その後、ラーヤは父を救う方法を求めて孤独な旅を続ける。
映画はラーヤの幼少期の物語で幕を開け、冒頭に彼女が人を信じることができなくなってしまった顛末が描かれる。映画の主人公は観客が共感し、ときに憧れるような存在であることが多いが、ラーヤや孤独で哀しみを抱えていて、人に対して心を開かない存在として登場する。しかし、彼女は不思議と魅力的で、観客はラーヤのことを嫌いになれないはずだ。
この絶妙なバランスは「とても意図的に描いたこと」だとホール監督は説明する。