くらし情報『『民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある』世田谷美術館で開幕 約150件でたどる民藝の今とこれから』

『民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある』世田谷美術館で開幕 約150件でたどる民藝の今とこれから

ひとつの理由は、当時の展示物には、柳が家族と自宅で使っていた普段使いの食器も含まれていたから。まさに「暮らしのなかの美」を体現するエピソードである。

『民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある』世田谷美術館で開幕 約150件でたどる民藝の今とこれから

第2章「暮らしのなかの民藝」「衣」を装う展示風景
第1章で民藝のライフスタイルにふれた後は、いよいよ「衣・食・住」を掘り下げた第2章へ。作品がゆったりと配された展示室は、ときに作品同士の色や形が響き合うように感じられる美しい空間だ。柳の眼が選んだ品々は、北は北海道から南は沖縄まで、また朝鮮半島をはじめとするアジアや欧米のものまで多岐にわたり、制作年代も縄文から同時代の昭和まで長きに及ぶ。

室内の順路は特になく、「衣」であれば、染め物や織物、編み物、刺子や刺繡など、様々な手仕事でつくられた着物や履物、装身具を自由に見ることができる。例えば几帳面な刺子の足袋のように、丈夫にするという機能性と文様の美しさを備えた品や、可憐な草花を刺繡した古い衣を染め直し、外出着として頭からかぶる被衣(かつぎ)に仕立て直した再生衣料など、どの品にも各々の見どころがある。制作手法や生産地の風土、発見時のエピソードなどを記した簡潔な解説も多く、個々の作品を味わう手がかりとなっている。

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