君島大空が合奏で『縫層』に宿した圧倒的な生命力 配信ライブ『層に電送』レポート
このライブの不思議な感覚をそう言葉にすると、やったことがないというメンバー紹介へ。君島が名前を呼ぶと3人はそれぞれ「お願いします!」と叫ぶ。気心知れたミュージシャン同士、いい空気が生まれている。
変幻自在かつ屈強なアンサンブル、『縫層』未収録の新曲披露も
君島と西田のギターの重なりから始まった「散瞳」ではタイトなビートとベースのリフレインがフュージョン的なスリルを生み出していく。変幻自在のテンポとリズムと一体になった君島の歌が、楽曲の器楽的な豊かさを存分に発揮している(君島の歌は、まるでオーケストラのフルートみたいだ)。そして新井の弾くベースとドラムのインプロビゼーションから流れ込んだのは「火傷に雨」。青い光がステージに満ち、どこまでも広がっていくようなスケール感を感じさせるサウンドが鳴り渡る。『縫層』の楽曲たちが、音源で聴く以上の肉体性をもって躍動している。
新作のタイトルトラック「縫層」で大胆な風景の展開のなかさらにテンションを高めると、君島の爪弾くギターが空気を一変させる。そして始まったのは「午後の反射光」だ。バンドサウンドがメロディと歌をドラマティックに盛り上げる。阿吽の呼吸でリズムを乗りこなしながら、感情の上下動を繰り返す君島とメンバー。