2022年6月17日 12:00
リセット・オロペサ いま一番勢いがあるソプラノの十八番にしびれる
もっとも、あくまでもプライベートの旅行だったそうだが。そして和食好きを強調したうえで「私の声は豆腐のようだ」と言っていた。味つけ次第でいかようにも変化する、ということらしい。
事実、オロペサはヘンデルなどのバロック・オペラからロッシーニ、ドニゼッティ、ベッリーニ、ヴェルディ、そしてフランス・オペラまでレパートリーが広いが、作品のスタイルに合わせて声を柔軟に変化させ、表現すべき感情に合わせて声に色彩をたくみに添えることができる。
また、コロラトゥーラと高音に聴かせどころがある、比較的軽いレパートリーを歌うことが多いオロペサだが、同様のオペラを歌うほかの歌手とくらべ、声量のダイナミックレンジが圧倒的に大きく、どの音域でもすみずみまでコントロールが行き届く。その結果、どんな役も一流料理人が手をかけた豆腐のように、理想的な味わいになるのである。
もともとはフルートを吹き、歌は勉強する気がなかったというオロペサだが、大学入学後は本格的に声楽を学び、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場のオーディションで優勝したのが2005年。はじめて舞台に立ったときは、まだ22歳だった。
それからかなりのキャリアを積んでいるが、まだ40歳にも満たない。