宮沢りえ&磯村勇斗が挑む唐十郎の伝説の戯曲。迷宮のような世界を美しく力強く立ち上げる。
だから僕自身も、被害に遭った人たちの声を含め、もっとしっかり調べていかなければなと思っています。あくまでも作品の中の役を演じるんですけど、この作品の中には実際にそこに生きている人たちの魂が生きている気がしますし。その魂を背負って、責任を持って演じないといけないなと思いますね。
――そんな物語の中で、演じる役にはそれぞれどんな魅力が出てきそうでしょうか。お互いの印象から感じることを教えてください。
『泥人魚』メインビジュアル左から愛希れいか、宮沢りえ、磯村勇斗、風間杜夫
宮沢この本は、ある意味、蛍一の物語だと私は思っているんです。ある問題を残して故郷の諫早を出ていった青年のもとに人々が押しかけてくる。そして、やすみもそうですけど、登場人物はみんな、蛍一に話をして、蛍一に対してメッセージを送るんです。
しかも、この濃いキャストの皆さんの言葉と魂を受け止めなければならないんですから、とてつもないエネルギーが必要でしょうし、すごく大変だろうなと思うんですね。でも、磯村さんにはそこに対する不安が一切感じられないというか。それは、これまで拝見してきた作品や、こうしてお目にかかった直感で感じることですけれども。