自分の目線で観る『忠臣蔵』の世界に共感してほしい~東京バレエ団『ザ・カブキ』柄本弾インタビュー~
一人一人がそれぞれの役を生きることで作品に厚みが出るので、若いダンサーにもその大切さを伝えていきたいですね。まずは“弾さんと踊ると楽しい”と思ってもらえたら。
『ザ・カブキ』より、第9場 討ち入り(photo: Kiyonori Hasegawa)
──バレエ以外の作品から表現のヒントを得ることもありますか?
ミュージカルや演劇の公演にもよく足を運びます。最初から最後まで自分の表現に反映するつもりで観ているわけではありませんが、「この目線いいな」「この演出、面白いな」と、使えそうなものは盗んでやろうという気持ちはありますね。バレエは声を発しない舞台芸術なので手法は全く違いますが、片寄涼太さんが出演されていた『HIGH & LOW 戦国』の舞台は、登場のシーンや見せ方など勉強になりました。
──最後に、これからバレエを観る人たちにメッセージをお願いします。
バレエの入り口は「ダンサーが跳んでる! すごいな」でも「衣裳や装置が綺麗だな」でも「音楽がカッコいいな」でも何でもアリだと思います。『ザ・カブキ』はクラシックの王道作品とは少し違いますが、日本で生まれ育った多くの人が知っている物語がどのようにバレエ作品になっているのかという興味から入っても良いかもしれません。