自分の目線で観る『忠臣蔵』の世界に共感してほしい~東京バレエ団『ザ・カブキ』柄本弾インタビュー~
特に前半の最大の見せ場である「山崎街道」の終盤で、青年が自分の立場を自覚し、討ち入りの決意を固める場面は印象的ですね。
自分が別次元に入り込んだことにさえ気付かず戸惑って傍観していた青年が、由良之助という武士として敵を討つことを決意する場面です。7分半にもおよぶソロのパートは肉体的にはキツいですが、主君の切腹や、仇討ちを果たせず死んでいった同志の姿を目撃したことで変わっていった心の動きを表現できればと思います。
──第二幕の討ち入りの場面では、男性ダンサーによる群舞も圧巻です。
クラシック・バレエ作品は女性ダンサーの見せ場を中心に構成されていることが多く、男性ダンサーがここまで活躍できる作品は他にありません。特にエンディングの四十七士での群舞は、いつも踊っていて鳥肌が立ちます。
『ザ・カブキ』より、第9場 討ち入り(photo: Kiyonori Hasegawa)
──『仮名手本忠臣蔵』が素材となっている作品だけに、衣裳や小道具はもとより、振付や音楽にも和の要素が随所にみられます。
刀や、着物の衣裳が効果的に使われています。
海外の公演でこちらが驚くほどの拍手やブラヴォーの声をいただくたび、日本文化や忠臣蔵を深く理解してバレエと融合させたベジャールさんの素晴らしさを実感してきました。