『攻殻機動隊』最新作はなぜ、Netflixシリーズに? 監督が語る
荒牧今回のやり方だと俳優さん自身も『攻殻…』やキャラクターを理解しようとしてくれるので、そこで得られたものと、田中敦子さんや大塚明夫さんたちの声が重なってできていった部分は大きいです。
では新たな手法で両監督はどんな物語を描くのか? テーマの設定や具体的なエピソード、セリフ、舞台の設定なども含め、両監督でやりとりしながら創作が行われたようだ。
神山どの作品であっても「いま」というものを切り取りたいと思っていて、その結果、こうなったらいいなとか、こういうことが問題なんじゃないかということをあぶり出していきたいと思っています。まず最初に考えたのは、いますごく平和で安定してきている部分がある一方で、それまで平和だったところで内戦が起こったりして、世界戦争に社会が突入しているんじゃないか? ただしそれは僕らが子供の頃に想像していた世界大戦とはまったく違うかたちになった。それはひとことで言えば何だろう? というのが今回のスタートでした。確かにいまはミサイルとか飛んではいないけど戦争状態だろうと。だとしたら、戦争って産業になっちゃったんじゃないの? 経済の持続可能性を追求した結果、産業として戦争が一番効率がいいっていう風に必然的に社会がそうなってなってしまってはいないか? そこで出てきたのが“サスティナブル・ウォー”って言葉で、それは誰かが意図的にやっているわけではないけれども、アメリカ社会なんかを見ていると持続可能性にネットやAIが加担しているんじゃないかとか……そうやってだんだん出来ていった感じですね。