2023年5月15日 12:00
【おとなの映画ガイド】筒井真理子主演、キムラ緑子、木野花、江口のりこ、平岩紙、光石研、磯村勇斗、そして柄本明…、役者が神がかりで全員ぶっとんでいる!──荻上直子監督の『波紋』
あの作品でも、両親たちは神聖で力を持つ水にのめりこむ。信じないものにとってはその儀式も冗談としか考えられないが、信心だから批判できない。
依子が通う宗教団体のリーダー役を演じるのはキムラ緑子、熱心な信者役で登場するのが江口のりこ、平岩紙と、役者も神がかり的。「個性・存在感」を競う実力派ばかりだ。そんな人たちが、至って善意で、美しいことばをぬりたくって「切磋琢磨いたしましょう」とか言い合う。
その3人以外でも、出てくる役者は「全員、実力派。全員、ぶっとんだ演技のコラボレーション」だ。例えば、隣人役に安藤玉恵。依子がつとめるスーパーで、毎日、クレーマーまがいの難癖をつけて値切る客に柄本明。一瞬気づかないような役でムロツヨシも出演している。夫役の光石研、息子を演じた磯村勇斗と、まさにただならぬ役者ばかり。
なかでも、依子と同じスーパーで清掃の仕事をする木野花は、インパクト強し。彼女のなにげにしたアドバイスが、依子を変える大きなきっかけとなる。
彼女自身驚くような現実をかかえていて…。それはそれで衝撃的なエピソードだ。
荻上直子監督は「初めて(台本の)読み合わせをしたときに並んだ女優3人(筒井真理子、キムラ緑子、木野花)