2023年5月15日 12:00
【おとなの映画ガイド】筒井真理子主演、キムラ緑子、木野花、江口のりこ、平岩紙、光石研、磯村勇斗、そして柄本明…、役者が神がかりで全員ぶっとんでいる!──荻上直子監督の『波紋』
「緑命水」という水の効能を信じる新興宗教にのめり込み、家中にその水が置かれている。夫が丹精こめて作った庭は、白い砂と岩がおかれた「枯山水」に姿を変えた。依子は、毎朝、大きな熊手を使いその枯山水に波紋を描くことで、自分を「整える」。
静かで一見穏やかな日々は、夫が突然に帰宅し、崩れる。ガンにかかったという。高価な薬が必要で、その金を無心にきたのだ。しかも夫は何事もなかったように、また、この家で暮らし始めてしまう……。
荻上直子監督は「依子は、夫がいなくなるまで、働かずに済むなら、働かなくていいという意識で生きてきたのですが、私の母親世代の多くは依子のような専業主婦で、そうした生き方が当時は主流でした。そういった女性が、家族の世話から解放されたときに拠り所をなくしてしまうというその心理はわからないではないけれど、次の依存先を欲してしまうという気持ちのほうがわからなかった。そこを知りたい、理解したいという気持ちから、依子という人物が宗教にはまる心理を考えていきました」とインタビューに答えている。
宗教を扱った映画では、芦田愛菜が「宗教2世」役を演じ、永瀬正敏と原田知世が両親を演じた『星の子』という作品があった。