2022年9月13日 11:00
演出家・杉原邦生、ギアチェンジして挑む『血の婚礼』で世界が広がっていく感覚
――ただ本作における感情のぶつかり合いは、決して前向きなものばかりではなく、現代においては少しきついと感じる部分もあるかもしれません。
確かにそうかもしれません。でもコミュニケーションって、やはり一度ぶつかり合わないと始まらないと思うんです。間接的なコミュニケーションだけでスルスルと逃げ続けてしまうと、前進にも後退にもならない。ひとつの結果を見出すということが大事であって、その結果がダメだった時には、じゃあどうするかを考えることがプラスに繋がる。そこに僕はポジティブなものを感じるんです。
新しい課題が目の前に現れると、楽しいし燃える
――台本を読まれて改めて感じたことは?
難しいホンだなと思います。僕はスペクタクル要素のある作品とか、歌舞伎などもやっているので“ケレン味”のある演出が好きなんですが、このホンってそういうやりどころがほとんどない。
今は新劇的にと言いますか、台本の世界観を地道に立ち上げていく精神力を鍛えるトレーニングをしているような感じです(笑)。だから最近の僕の作品を観てくれた方からすれば、「これ同じ演出家かな?」と思うかもしれません。
――それはどういった点で?
僕自身、ちょっとギアが違うからですね。