【おとなの映画ガイド】関西弁ノワールの傑作──安藤サクラ主演、山田涼介共演の『BAD LANDS バッド・ランズ』
原田作品の魅力。もうひとつは、セットを始め、どこで撮ったのだろうと感心する映像のユニークさ。今回、大阪でロケもしているが、彦根の各所でオープンセットを作ったり、住宅や店舗を改造して、撮影を行っている。例えば、詐欺グループが出入りするプールバーなんて、無国籍でノワール(暗黒)映画にぴったりの舞台。
この店の名前が、タイトルにもなっている「BAD LANDS」。若き日のシシー・スペイセクとマーティン・シーンが共演したテレンス・マリック監督『地獄の逃避行』(1973) の原題からとっている。主人公ネリの名前は、ドストエフスキーの『虐げられた人びと』のネリーからだという。
そんな風に、映画のあちこちに、まるで宝探しでみつける宝物のように、監督の遊び心も隠されている。
文=坂口英明(ぴあ編集部)
【ぴあ水先案内から】
笠井信輔さん(フリーアナウンサー)
「……緻密に計算された配役と演出。キャストの移動をつぶさに追うカメラが画面に躍動感を与え想像を超える犯罪カオスへと向かうのだ」
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(C)2023『BAD LANDS』製作委員会
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