2024年3月2日 10:00
「どっちなんだよ」のままで終わらせてはいけない作品。沖縄在住の劇作家・兼島拓也と新たに出演する・中山祐一朗が語る2024年版『ライカムで待っとく』
(撮影:石阪大輔)
アメリカ占領下の沖縄で起きた1964年の米兵殺傷事件を扱ったノンフィクション『逆転』(伊佐千尋著、新潮社・岩波書店刊)から着想を得て、沖縄在住の劇作家・兼島拓也が書き下ろし、沖縄に出自を持つ田中麻衣子が演出を手掛けた舞台『ライカムで待っとく』。KAAT神奈川芸術劇場の制作で2022年に初演され、絶賛を受けた本作の、待望の再演が決定した。沖縄の過去、現在、未来が交錯するストーリーから浮かび上がるのは、米軍基地問題を始めとする数々の、解けないままの状態でいる沖縄の複雑な事情である。内地の人間が見ずに過ごして来た、もしくは見ないふりをしてきた沖縄の痛みを、軽やかに、されど鋭く突きつけた衝撃の舞台は、多くの観客の心を揺さぶり、思考を促し、幾つもの演劇賞を賑わせた。今回の再演で新たに出演が決まり、主人公・浅野役を担う中山祐一朗と、沖縄で脚本の改訂を進めている兼島拓也のリモートによる対談は、ふたりの朗らかな「はじめまして」の挨拶から始まった。
新たなキャストを迎え、初演とは違うものに
中山はじめまして、中山です。よろしくお願いします。
兼島兼島です。
よろしくお願いします。
中山兼島さん、年間何本ぐらい戯曲を書くんですか。