2022年7月22日 11:00
同性愛者たちの葛藤を紐解く『The Pride』岩男海史×池岡亮介×井上裕朗インタビュー
実情を知らない他者から容易にラベリングというか、「タグ付け」される世の中に圧倒されてしまって。1958年のオリヴァーは同性愛のタブー視に立ち向かう情熱があったけど、彼らを取り巻く環境が改善されているはずの2008年になると50年前とはまた違ったストレスに晒されている。その時代を生きるオリヴァーは、ものごとの本質に向き合わない癖がついて、問題を見ないフリが上手になってしまっている気がします。そんな彼が2008年の最後で踏み出す一歩に、ご注目いただけたら。
──現時点でおふたりがこのように受け止めている人物像を、井上さんはどのように演出して形にしていこうと考えていらっしゃいますか?
井上『The Pride』という作品における大きなテーマのひとつが、「他者に共感する力」だと思うんですね。自分とは異なる境遇の人の立場や視座からものごとを見て、他者に心を寄せる。これって実は、僕たち俳優が普段している作業で。だから海史や亮介がオリヴァーやフィリップの立場に身を置いた時に、どんなことを感じて何を想像するのか。
翻って劇場で時空間を共有する観客の皆さんに、劇世界を鮮やかに「イメージさせる」ことができるのか──。